リサーチャーズクラブ1期の活動において、消費者の食品トレイに関する意識調査を行ったところ、「食品トレイはいらない」という声が多いという結果が得られました。
そこで、リサーチャーズクラブ1期の中で特に意欲の高いメンバーを中心に「リサーチャーズクラブ・プラス」を結成し「トレイレス(食品トレイを使わない)」をテーマに活動をスタートしました。
具体的には、まず、従来の食品トレイに代わる紙のトレイ(リーフパック)を使用している店舗の見学会、さらにそうした商品を実際に購入してドリップ量の調査や実際に調理した場合の使いやすさについての調査、名古屋市へのヒアリングなどを行ったうえで、その結果を踏まえて、紙のトレイ(リーフパック)の魅力を伝えるPOPを作成し、売り場のレイアウトの変更やPOPの掲示によってどの程度売り上げが変動するか店舗実験を行い、POSデータによる売上量の変化や、インタビュー調査による分析を実施しました。
食品トレイをはじめとした容器包装に関する調査を行った結果、①ノントレイの容器包装は複数のメーカーで生産されているものの、まだ十分に普及しているとはいえない状況であること ②店舗においても、一部の店舗を除き販売は一部にとどまっていることがわかりました。
その背景には、①国や自治体においても、環境負荷の軽減の計算や検証に課題があり検討中である ②トレイと比べ商品の安全や衛生面での課題があること、更には売り場での作業変更負荷の解決を要する といった課題があることもわかりました。
また、メンバー自らノントレイの商品を実際に購入し使用したところ、「かさばらない」「まな板代わりに使える」「ゴミが減る」といった利点がある一方で、肉汁の量なども食品トレイの商品と同等であるにも関わらず、見た目では劣るという課題があることも明らかとなりました。
これらの成果を踏まえ、プロジェクトでは、国や自治体での動きを見つつ、消費者目線での検討を行うことの意義が高いとの結論から、リーフパックの販売に関し実際の店舗実験を行うこととしました。
【参照】「第1回リーフパック見学会報告書」(PDF:2.18MB)
【参照】「第2回リーフパック見学会報告書」(PDF:2.66MB)
ノントレイ商品を使用することによる、消費者視点でのメリットを前面に出した情報表示として、アピタ緑店において販売しているリーフパックの商品を例に「かさばらない」「まな板代わりに使える」「ゴミが減る」など、その利点を前面に出したPOPを作成し、情報表示による購買変容の変化を観測し、来店者に対し、インタビュー調査を行いました。
POSデータにより売上の変化を分析した結果、POPを掲示する前の期間(1/7~1/21)と、POPを掲示した後の期間(1/28~2/11)を比較すると、実験の対象とした6種類の精肉のうち、鶏モモ肉、鶏手羽元、豚ロース、豚薄切り、牛ステーキの5種類で、売上全体に占めるリーフパック包装分の売上の販売比率が上がりました。
また来店者へのインタビュー調査では、実際に購入したことがある消費者の方からは、「ゴミが出ないのが助かる」「リーフパックのほうが使いやすくて良い」など、リーフパックによる包装を高く評価する声が多く上がりました。社会実験中に初めて購入する方からも、「かさばらないのでよい」と評価する声が多くみられました。
一方で、リーフパックに関する情報を示したPOPについては、「POPは目立たない、気付かなかった」といった声が多かったことから、売上増はPOPによる効果との相関は弱く、むしろ、「平場に出ていたので初めて気付いて購入した」という声があり、陳列方法を変更したこと、売り場にリーフパックを置き始めてから一定期間が経過したことによる認知度のアップが売上拡大につながったと考えられます。
また、リーフパックの利用や普及について、店舗でのインタビュー調査だけでなく、広く一般消費者へ意見を聞くため、郵送によるアンケート調査を行いました。アンケート調査結果より、食品トレイに入った肉を「購入したい」と答えた人は40.2%であるのに対し、真空パックは78.9%、リーフパックでは76.2%と、トレイを必要としていない人が多いことがわかりました。
【参照】買い物と環境に関するアンケート調査2012
こちらからご覧ください
研究成果 → 1.買い物と環境に関する基礎調査 → 6.【郵送調査】買い物と環境に関するアンケート調査(2012年3月)